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論文

Structural phase transition of Pt/Ge(001) surface studied by reflection high-energy positron diffraction

望月 出海; 深谷 有喜; 河裾 厚男

JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 137, 2012/01

Ge(001)表面に一原子層程度のPtを吸着させると、欠陥なくサブミクロンの長さに達する一次元原子鎖構造が形成される。この原子鎖は約80Kを境にパイエルス転移する報告があるが、その原子配置や相転移による原子変位は解明されていない。これまでわれわれは、反射高速陽電子回折(RHEPD)法を用いた一波条件ロッキング曲線の解析から、高さ方向の原子配置に関して、Vanpouckeらが提案したNWモデルで説明されることを示してきた。しかし、彼らはPt被覆率の異なるNWモデルを提案し、相転移がPt被覆率の変化に由来すると主張している。そこで今回は、多波条件のRHEPD構造解析から、正確な原子配置とPt被覆率の決定、そして相転移前後の原子変位について解明を試みた。RHEPDロッキング曲線と、Pt被覆率の異なるNWモデル(0.75, 0.8125, 0.875ML)を用いた動力学計算の比較から、0.8125, 0.875MLの両モデルは全反射領域などの形状を再現できないのに対して、0.75MLは曲線をよく再現できることがわかった。また理論計算は最表面Geダイマー原子間に高さ差のないモデルを支持するのに対して、われわれの結果は高さ差のあるモデルを支持する結果が得られた。すなわち原子配置は0.75MLのNWモデルでおおむね適切だが、最表面に非対称Geダイマーが配置したp(4$$times$$4)構造であることがわかった。この起源については電荷密度波や格子エネルギーなどの要因が考えられる。

論文

The Effect of partial delignification of kenaf bast fibers for radiation graft polymerization

Mohamed, N. H.*; 玉田 正男; 植木 悠二; 瀬古 典明

JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 45, 2012/01

放射線グラフト重合法は、さまざまな素材・形状の高分子基材へ適応可能な機能性付与技術であり、幅広い分野で利用されている。しかし、木質繊維などに代表されるようなリグノセルロース系材料では、材料自身に含まれるリグニンが阻害剤となりグラフト重合反応が進行しないという問題がある。本研究では、リグノセルロース系天然高分子であるケナフ繊維を基材とするグラフト吸着材の創製を目指し、その第一段階として、ケナフ繊維からのリグニン除去方法の検討、並びに、ケナフ繊維中のリグニン含有量が及ぼすグラフト率への影響について検討した。その結果、ケナフ繊維(初期リグニン含有量: 88%)を0.7%亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて90$$^{circ}$$Cで6時間処理することにより、リグニン含有量を1.12%まで低減化させることに成功した。また、脱リグニン化ケナフ繊維を用いたクロロメチルスチレン(CMS)のグラフト重合反応においては、リグニン含有量が6%以下となった場合から徐々にグラフト重合反応が進行し、リグニン含有量が2%の場合ではグラフト率は143%に達した。

論文

A Simple method for radiation-induced graft polymerization using a polyethylene bottle as a reactor

植木 悠二; Dafader, N. C.*; 瀬古 典明; 玉田 正男

JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 43, 2012/01

放射線を利用した高分子加工技術の一つである放射線グラフト重合法は、既存の高分子基材に新たな機能性官能基を導入することができる優れた手法である。しかし、従来技術では、反応活性種となるラジカルの失活防止対策として、無酸素/真空条件下において重合反応を実施していた。そのため、煩雑な実験操作並びに専用の反応容器等を必要とし、実験環境の整備されていない東南アジア諸国では実施不可能といった問題があった。本研究では、専用装置を使用せずとも実施できるようなより簡便な製法を確立するために、重合反応容器としてポリエチレンボトルを用いたグラフト重合を実施した。その結果、反応系中のラジカル数量及び溶存酸素濃度を制御し、重合反応速度がラジカル失活速度を上回る条件を見いだすことにより、ポリエチレンボトルを反応容器として用いた有酸素/大気圧条件下においてもグラフト重合反応を進行させることに成功した。このときの具体的な反応条件としては、高分子基材への照射線量が50kGy以上、反応容器内のエマルション相と空気相との体積比率が50:1以下、モノマー溶液中の溶存酸素濃度が2.0mg/L以下であった。

論文

電子線同時照射共グラフト法によるゴム表面改質の研究

溝手 範人*; 齋藤 広明*; 植木 悠二; 瀬古 典明; 玉田 正男

JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 52, 2012/01

ワイパーゴムは摩擦,耐摩耗性の向上を目的として塩素化処理やコーティングなどの表面処理が行われている。しかし、これらの表面処理法では環境負荷が高い、あるいは、コーティング剤が剥離しやすいといった問題があるため、新規表面改質技術の開発が求められている。これまでに電子線同時照射共グラフト重合技術によるゴム表面改質を実施し、ゴム表面に導入したモノマーの種類並びにその組成比が表面特性を特異的に変化させることを見いだしてきた。本研究では、モノマー組成比が及ぼす摩擦摩耗特性への影響について検討した。その結果、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランに少量の2-ヒドロキシエチルメタクリレートを加えた混合モノマーをゴム表面にグラフトすることで、摩擦変動が少なく、かつ、耐摩耗性が2倍程度向上した改質面を得られることがわかった。

論文

Radiation-induced grafting of acrylonitrile monomer onto cellulose nonwoven fabric

佐伯 誠一; Puspitasari, T.*; 瀬古 典明

JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 44, 2012/01

液相における放射線グラフト重合法では、環境・人体に悪影響を及ぼす懸念のある有機溶媒を多用する場合が多いため、有機溶媒使用量の低減が望まれている。本研究では、有機溶媒の代替としてモノマーを水に分散させるo/wエマルジョン溶液を用いて放射線グラフト重合を試みた。重合モノマーにアクリロニトリル、基材にセルロース製不織布、界面活性剤にTween80を用いてエマルジョン溶液を調液してグラフト実験を行った結果、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を使用した場合に比較して、著しくグラフト率が増加することがわかった。また、グラフト率は界面活性剤濃度にあまり依存せず、アクリロニトリル濃度に大きく依存することがわかった。以上より、アクリロニトリルを用いた放射線エマルジョングラフト重合は、有機溶媒の使用量の低減に加え、高効率にグラフト反応を促進することが示された。

口頭

陽電子顕微鏡を用いた材料中の格子欠陥の可視化; 革新的高温ガス燃料炉用ZrC被覆層

相原 純; 前川 雅樹; 植田 祥平; 河裾 厚男; 沢 和弘

no journal, , 

原子力機構(JAEA)は、革新的高温ガス炉用燃料用炭化ジルコニウム(ZrC)被覆技術開発と並行して、ZrC層検査方法として定比性及び密度の検査方法を開発したが、定比性及び密度が等しくても、燃料コンパクト焼成を模擬した熱処理を行うと微細構造が大きく異なる場合があった。そこで、試料調整が容易かつ定量評価に適した陽電子消滅法(PAS)に着目し、PASのZrC被覆燃料粒子の検査への適用の可能性を検討するため、また、より多面的な物性評価により被覆層の特性を理解するため、JAEAで開発した陽電子マイクロビーム装置を用いて、ZrC被覆粒子の陽電子消滅測定を行った。その結果、PASにより上記の2バッチの差異を検出できた。すなわち、熱処理により顕著なZrC結晶成長が起こったバッチの方が空孔型欠陥が少なかった。その空孔型欠陥の同定のため、消滅$$gamma$$線スペクトルを理論計算と比較した結果、何らかの複合欠陥である可能性が大きいことがわかった。

口頭

高エネルギー準単色中性子標準校正場の開発

志風 義明; 谷村 嘉彦; 堤 正博; 吉澤 道夫; 原野 英樹*; 松本 哲郎*; 水橋 清

no journal, , 

20MeV以上の中性子に対する校正場は、国内で未整備である。そこで、原子力機構・高崎量子応用研究所・TIARAの数十MeV領域の高エネルギー準単色中性子場を利用し、標準校正場の開発を進めている。このために、まず、照射野の測定を行い、中性子ビームの空間分布を把握した。次に、有機液体シンチレータを用いたエネルギースペクトル測定を行った。また、高効率の反跳陽子カウンターテレスコープを開発し、校正点のフルエンスを精度よく絶対測定した。さらに、透過型フルエンスモニタ及び計数の表示・記録システムを開発し、また、モニタの安定した運用のための校正方法を決定した。これらにより、国内唯一の数十MeV領域の高エネルギー中性子校正場が完成した。

口頭

耐熱・高耐放射線性ファイバスコープの開発

内藤 裕之; 板垣 亘; 岡崎 義広; 今泉 和幸; 北村 了一; 社本 尚樹*; 竹島 由将*

no journal, , 

高速炉の炉容器内観察に長時間使用できる耐熱・高耐放射線ファイバスコープの開発を行った。本ファイバスコープは200$$^{circ}$$Cの高温環境下で従来より1桁高い5$$times$$10$$^{5}$$Gyまで使用できることを目標とした。純粋石英コアイメージファイバのコアのOH基含有量を従来の200ppmから1000ppmに増加することで耐放射線性の向上を図り、高崎量子応用研究所のコバルト60$$gamma$$線照射施設において$$gamma$$線照射試験を実施してその効果を確認した。白色光源とスペクトルアナライザを用いた透過光強度の測定結果とカラーセンター形成モデルを用いた評価により、伝送損失の増加を照射量5$$times$$10$$^{5}$$Gyにおいて0.9dB/m以下に抑止できる見通しを得た。また、ファイバの機械強度については、照射前と照射後の引張強度に大きな変化は見られず、被覆材の劣化がほとんど見られないことから、炉内で使用するのに十分な強度を有していることを確認した。以上より、目標とする200$$^{circ}$$C, 5$$times$$10$$^{5}$$Gyまで使用できる見通しを得た。

口頭

ヒドロキシプロピルセルロースゲルの特性改質; モノマーの添加効果

廣木 章博; 佐藤 利弘*; 長澤 尚胤; 田口 光正; 玉田 正男

no journal, , 

ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ゲルを医用材料として利用するためには、伸びにくく、裂けやすいという機械的特性を改質する必要がある。本研究では、HPCの濃厚水溶液(ペースト状サンプル)に橋かけ助剤やモノマーを混合し、放射線照射することにより機械的特性の向上を目指した。20wt%のHPC、0.2$$sim$$1.0wt%のポリエチレングリコールジメタクリレート(23G)、2wt%のメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)から成るペースト状サンプルを調製し、成膜後、電子線照射を行い、無色透明なゲル膜を作製した。HPCに23Gを0.2wt%添加すると、低線量(20kGy以下)でも高いゲル分率を示した。しかし、さらにHEMAを添加したHPC/23G/HEMAでは、ホモポリマーの生成が増え、ゲル分率が低下した。一方、ゲルの強度及び伸長率は、50kGy照射のHPCゲルでは、それぞれ1.0kg/cm$$^{2}$$, 70%であったが、橋かけ助剤の23Gを0.2wt%添加すると、橋かけ構造の形成促進により強度が増加し、30kGyで3.1kg/cm$$^{2}$$, 97%を示した。さらに、2wt%のHEMAを添加したHPC/23G/HEMA(20/0.2/2wt%)のゲルでは、50kGyで最大値を示し、強度は2.0kg/cm$$^{2}$$、伸長率は124%になることがわかった。したがって、HPCとHEMAと23Gを混合し放射線橋かけすることで、HPCのみのゲルに比べて2倍の強度と1.8倍の伸長率を示す透明なゲルを作製することができた。

口頭

放射性臭素$$^{76}$$Brの製造法の開発

渡辺 智; 渡邉 茂樹; 飯田 靖彦*; 花岡 宏史*; 遠藤 啓吾*; 石岡 典子

no journal, , 

現在PET診断に用いられている核種は半減期が2時間以下と非常に短いため、抗体のような集積に時間のかかる化合物を利用したPET診断には限界がある。これを解決するために、本研究では新規ポジトロン放出核種として半減期が16.2時間の$$^{76}$$Brの製造法の開発を行った。セレン化銅をターゲットとし、$$^{76}$$Se(p,n)$$^{76}$$Br反応を用い、原子力機構のTIARA-AVFサイクロトロンからの20MeV, H$$^{+}$$ビームで照射をして$$^{76}$$Brを生成した。ターゲットからの$$^{76}$$Brの分離には乾式蒸留法を用いた。この乾式蒸留法において、ターゲット由来の毒物であるSeの混入を避け、安全性の高いPET薬剤を開発するために、高純度での$$^{76}$$Brの分離が可能なBrトラップによる$$^{76}$$Br回収法を開発した。また、乾式蒸留法における電気炉の温度を検討することにより、30%程度の回収率を約80%にまで向上させることに成功した。

口頭

原子力用ケーブルの経年劣化メカニズムと寿命評価

瀬口 忠男*

no journal, , 

原子力発電所の電線ケーブルが長期間運転で、どの程度の劣化レベルになっているか、また、運転期間を延長するためには、現状の劣化を把握し、余寿命を評価技術を向上するために、2006-2010年度に「ケーブル劣化のメカニズムに関する研究」を実施した。代表的な絶縁材料について、熱劣化及び放射線劣化を行い、劣化挙動を物性測定,化学分析で解析した。劣化の度合いは添加される安定剤(酸化防止剤)に依存するが、熱と放射線では、その効果が大きく異なることを定量的に解析し、その作用機構(メカニズム)が解明された。この結果、寿命を推定する妥当な加速試験を提案した。

口頭

マイナーアクチノイドの溶媒抽出に及ぼす$$alpha$$線の照射効果

須郷 由美; 田口 光正; 佐々木 祐二; 石岡 典子; 森田 泰治

no journal, , 

高レベル廃液から長寿命の$$alpha$$線放出核種であるマイナーアクチノイドを分離回収するための抽出剤、テトラオクチルジグリコールアミド(TODGA)の溶媒抽出能に及ぼす$$alpha$$線の照射効果を検討するため、(1)加速器を利用して試料の外部から$$alpha$$線を照射した場合と、(2)高濃度$$^{241}$$Amを用いて試料の内部から$$alpha$$線を照射した場合について、それぞれ抽出剤の放射線劣化に伴う$$^{241}$$Amに対する抽出能の変化を調べた。その結果、両者で大きな違いは観測されず、ともに吸収線量が200kGyを超えても分配比の劣化は認められなかったことから、TODGAは実プロセスで繰り返し利用することが十分に可能であるとの知見を得た。また、実プロセスでの放射線場の環境に近い(2)の実験を模擬する手法として、(1)の加速器を利用した実験が有効であることを本実験により確かめることができた。

口頭

高強度陽電子マイクロビーム発生のための陽電子銃改良

前川 雅樹; 河裾 厚男; 薮内 敦

no journal, , 

大面積走査や高精度な欠陥構造測定といった、これまでの陽電子マイクロビームでは困難であった測定を行うため、ビーム強度増大を目的とした陽電子銃の改良を行った。従来の6倍の$$^{22}$$NaCl線源を、陽電子マイクロビーム発生に適した独自開発の小型線源カプセルに密閉し線源を製作した。低速陽電子ビームを得るための減速材形状についても計算機シミュレーションを活用した最適化を行った。これらの改良の結果、ビーム強度は従来のおよそ10倍にまで増強された。一方、ビーム径は10$$mu$$mと、従来とほぼ同様のままであった。

口頭

腫瘍PETイメージングのための新規チロシン誘導体、3-[$$^{76}$$Br]bromo-$$alpha$$-methy-L-tyrosineの合成と生物学的評価

大島 康宏; 花岡 宏史*; 富永 英之*; 渡邉 茂樹; 須郷 由美; 渡辺 智; 織内 昇*; 遠藤 啓吾*; 石岡 典子

no journal, , 

3-[$$^{18}$$F]fluoro-$$alpha$$-methyl-L-tyrosine([$$^{18}$$F]FAMT)は有用な腫瘍PETイメージング用アミノ酸トレーサーの一つであるが、合成収率が低く、半減期も約110分と短いため、その利用はサイクロトロンを有する病院に限定される。[$$^{18}$$F]FAMTによるPET診断を社会で広く利用可能にするためには、これらの問題点を克服した新規FAMT誘導体が必要である。ポジトロン放出核種である$$^{76}$$Brは半減期が約16.1時間と$$^{18}$$Fに比べて長く、FとBrは同じハロゲン族であるため、$$^{18}$$F標識体を$$^{76}$$Br標識体として合成可能である。さらに$$^{76}$$Brの$$alpha$$-methyl-L-tyrosineに対する標識時間は短く、収率も$$^{18}$$F標識に比べて高い。そこで、本研究では新規FAMT誘導体として3-[$$^{76}$$Br]bromo-$$alpha$$-methyl-L-tyrosine ([$$^{76}$$Br]BAMT)を合成し、腫瘍PETイメージングに応用可能であるかを評価した。その結果、[$$^{76}$$Br]BAMTは[$$^{18}$$F]FAMTと同様な体内分布を示し、腫瘍に対しては[$$^{18}$$F]FAMTよりも高い集積を示した。さらに[$$^{76}$$Br]BAMTによるPETイメージングにより腫瘍部位を明瞭に描出することに成功した。しかしながら、[$$^{76}$$Br]BAMTを投与したマウスにおいて、$$^{76}$$Br$$^{-}$$遊離に依存した放射能滞留が認められた。以上の結果より、[$$^{76}$$Br]BAMTは安定性の点で改善する必要があるが、FAMT誘導体として腫瘍PETイメージングに有用であることが示された。

口頭

プラスチック容器及びセルロース系樹脂の放射線照射実験

齋藤 浩介

no journal, , 

平成22年7月23日、原子力機構プルトニウム燃料第一開発室で火災が発生した。火災は、管理区域内工程室におけるグローブボックス内の、核物質を保管していたステンレス製容器から発生したものであり、この原因を究明するためにさまざまな角度から調査が実施された。当該ステンレス製容器内には、プラスチック容器等に収納されたウラン化合物やプルトニウム化合物が存在しており、火災原因として、プラスチック容器の放射線分解によって生成した水素ガス、その他可燃性ガスへの引火事象の可能性が指摘された。プラスチック容器はポリエチレン(PE)及びポリスチレン(PS)製であり、$$gamma$$線の照射によって水素ガス,炭酸ガス,メタン,エタンなどが発生することが知られている。また、上記重金属化合物粉末の固化材としてセルロース系樹脂を使用していた。このセルロース系樹脂に関しては、$$gamma$$線照射によるガス発生の報告は皆無である。そこで、これらのプラスチック及び樹脂の、放射線分解による水素及び可燃性ガスの発生を実験的に定量するために、$$gamma$$線照射施設を用いた照射実験を実施した。

口頭

陽子線照射した水素化アモルファスシリコン半導体の電気伝導度変化

佐藤 真一郎; 大島 武; 今泉 充*

no journal, , 

フレキシブル宇宙用太陽電池の候補材料である水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜半導体の陽子線照射による電気伝導度の変化について調べた。非ドープa-Si:Hの電気伝導度は10MeV陽子線を照射すると急激に上昇し、10$$^{13}$$/cm$$^2$$付近で10$$^{-4}$$S/cm程度まで上昇した。その後は減少に転じ、10$$^{14}$$/cm$$^2$$以降では10$$^{-9}$$S/cm未満となった。このような低フルエンス領域での伝導度の上昇は、陽子線のエネルギーを変化させても生じ、また、n型a-Si:Hにおいても同様の結果が得られた。この原因を解明するために、その場熱起電力測定装置を開発し、陽子線照射直後のゼーベック係数の変化を調べた。未照射の非ドープa-Si:Hではゼーベック効果を観測できないが、陽子線照射すると負のゼーベック効果を示した。これは伝導型がn型になっており、陽子線照射によってドナー型欠陥が生成していることを意味している。また、照射量を多くすると負のゼーベック効果は現れなかった。ゼーベック係数の変化と電気伝導度の変化は非常に良く一致していることから、電気伝導度の変化がドナー型欠陥の生成に起因していることが示された。

口頭

太陽電池の放射線照射試験における照射条件が劣化に及ぼす影響

今泉 充*; 齊藤 政志*; 百合 庸介; 佐藤 真一郎; 大島 武

no journal, , 

宇宙用太陽電池の放射線照射試験は、現在各国、各施設によってまちまちの試験条件のもとで実施されており、その国際標準化が求められている。しかし、この標準化にあたって必要となる照射条件が太陽電池の劣化に及ぼす影響はまだほとんど調べられていない。本研究では、小さく焦点化した陽子線を走査する方法と、陽子線を拡散,拡大させる方法の2通りで太陽電池の放射線劣化試験を実施し、発電特性の劣化を比較した。その結果、今回の試験条件下においては、走査ビームと拡散ビームで劣化に有意な差はないことがわかった。したがって、太陽電池の陽子線照射試験においてはどちらの照射領域拡大法を用いても良いと結論された。

口頭

イオン注入法により希土類元素を添加したAlGaNの発光特性と注入損傷の検討

岡田 浩*; 若原 昭浩*; Park, J.-H.*; 佐藤 真一郎; 大島 武

no journal, , 

半導体中に添加した希土類元素からの発光は照射損傷の影響を受けにくいといわれており、耐放射線性発光デバイスへの応用の可能性が示唆されている。今回は、有機金属気相成長法により作製したAl$$_{0.35}$$Ga$$_{0.65}$$Nに200keVのTbイオンを1.0$$times10^{12}$$/cm$$^2$$から1.4$$times10^{16}$$/cm$$^2$$の範囲でイオン注入し、N$$_2$$+NH$$_3$$混合ガス中で1100$$^{circ}$$C,120秒の高速熱処理を行った。これらの試料に対し、チャネリングラザフォード後方散乱法(RBS)で結晶性を評価し、またカソードルミネッセンス(CL)測定を行い、発光強度の変化を調べた。その結果、1.0$$times10^{13}$$ Tb/cm$$^2$$までは発光強度が増加したが、それ以上のフルエンスでは発光強度が飽和した。一方、RBS測定の結果からは、5.0$$times10^{14}$$ Tb/cm$$^2$$以上でチャネリングイールドが急速に増加するという結果となり、これはCL強度が飽和を示すフルエンスよりも1以上高かった。このことから、注入したTbのうち、結晶欠陥などの影響により限られたTbしか発光に寄与していないことが明らかになった。

口頭

AVFサイクロトロンの運転・整備状況

奈良 孝幸; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 横田 渉; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; et al.

no journal, , 

TIARAの主要加速器であるAVFサイクロトロンは2010年度の年間の照射計画を順調に遂行し、ファーストビーム以降の積算運転時間は62,878時間に、サイクロトロンを用いての延実験件数は8,719件に達した。機器の故障やトラブルを防ぐため計画的に保守・整備を進めたため、東北地方太平洋沖地震によるものを除く装置の故障やトラブルによる実験中止件数はゼロであった。東北地方太平洋沖地震の影響は、大きな揺れにより本体室遮へい扉ロックピンの破損及び入射系ターボ分子ポンプ1台に故障であり、その他の機器及び建屋に損傷はなかった。技術開発では、多重極電磁石を用いた均一ビーム照射技術の開発ではLBコースに設置した大面積均一照射用真空チェンバーを用いて10MeV-H$$^{+}$$の大面積均一ビーム形成実験を実施し、ビーム輸送及び照射が設計どおりにできることを確認した。新ビーム開発では、実験者からの要望で$$^{14}$$N$$^{5+}$$-190MeVと$$^{129}$$Xe$$^{24+}$$-490MeVの2種類のイオンビームを開発し、利用可能とした。

口頭

単一イオンによってZnS(Ag), CdWO$$_4$$, YAG:Ce, ダイヤモンドに誘起される微小発光の検出

小野田 忍; 牧野 高紘; 大島 武

no journal, , 

高エネルギー重イオン1個が半導体に誘起するシングルイベント効果(Single Event Effect: SEE)を評価するために、ブロードビームと位置検出技術を組合せてマイクロビーム照射実験と同等の実験、つまりイオン誘起電荷のマッピング像を測定することができる装置の開発に取り組んでいる。本研究では、ZnS(Ag), CdWO$$_4$$, YAG:Ce, ダイヤモンドに、単一の150MeVアルゴン(Ar)ビームを照射したときに観測される微弱光を検出し、開発中の装置に適した発光体を選定した。CdWO$$_4$$を除くすべての発光体でスポット状の発光が確認され、単一イオン検出が可能であることがわかった。ZnS(Ag)にイオンが入射した場合、スポット径は数十$$mu$$mであった。YAG:Ceやダイヤモンドにイオンが入射した場合、スポット径はおよそ8$$mu$$mであった。スポット径はマッピング像の位置分解能を決めることから、ZnS(Ag)よりも、YAG:Ceやダイヤモンドの方が当該装置に適していることが明らかとなった。

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